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Euclidea 1.7 円に内接する正方形の作図 解説

作図クイズアプリ、Euclidea。

シンプルな作りながら、最小手数での作図が案外難しくて癖になりますね。

序盤の難問1.7 Inscribed Square(内接正方形)について作図の解説と数学的考察をしています。

自力で解きたい方は回れ右。

 

6L

こちらの作図は容易です。

与えられた円周上の1点と中心を結ぶ直線によって、反対側の頂点が決定。

正方形の対角線は垂直に交わりますから、この2頂点の垂直二等分線を作図すれば、それと円周の交点が残りの2頂点になります。ここまで2L。

残り4Lで各頂点を結べばできあがりです。

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7E

8手だと簡単なんですが、7手だと途端に難しくなります。

まずは手順から。

便宜上与えられた1点を点A、円の中心を点Oとします。

まず点Aを中心として点Oを通るような円を作図し、この円と円Oの2つの交点をそれぞれ点B,Cとします。

次に、点Bもしくは点Cを中心とし、他方の点を通るような大きな円を作図します。この円と円Oの交点が、作図すべき正方形の一つの頂点になります。(点Xとします)

 

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次に点Oと点Bを通る直線を引きます。円Bと2つの交点ができますが、点Bに近い側の交点を点D、点Oに近い側を点Eとします。

そして、点Xと点D、点Xと点Eを直線で結ぶとそれぞれ円Oとの交点ができますが、これが作図する正方形の残り2つの頂点になります。(点Y、Zとします)

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点Y、Zを作図する際に、正方形の2辺XY,XZが作図できたので、残り2手で点Aと点Y、点Zを結べば7手で作図が完了です。

 

【おまけの解説】

どうしてこれで内接正方形が作図できるのでしょうか。

考えてみましょう。

・最初の2手で、点Aの反対側の頂点が作図できる理由

最初にAOを半径とし、点Aを中心とする円を作図することで点B、Cができました。

線分BCは作図の手順から、線分AOの垂直二等分線です。

また三角形OCA、OBAが正三角形であることから、三角形OBCは120°、30°、30°の二等辺三角形。従って、線分CBの長さは余弦定理から円Oの半径rを用いて√3rと求まります。

一方で円Oに内接する正三角形について考えると、その一辺の長さは正弦定理から√3rと求まります。つまり、線分BCは、円Oの内接正三角形の一辺だったのです。

一般に二等辺三角形において頂角の二等分線は、底辺を垂直二等分します。またここで線分BCと線分AOが直交します。また求める正方形の1頂点は、直線AO上にあります。これらを合わせると、線分BCを1辺とする正三角形の残り1頂点が、作図したい正方形の1つの頂点になるわけです。

かくして、点Bを中心に点Cを通るような円を描くと出てくる円Oとの交点が、点Aの反対側の頂点たる点Xとなりました。

・次の3手で残り2頂点が導かれる理由

ここで一度、点A、O、Xを縦に貫く直線を引いてみます。この直線は言うまでもなく求める正方形の対角線ですから、角Xを2等分します。したがって、この直線に対して45°(下図の赤で囲ったところ)を作図することができれば点Xから出る辺を作図できます。

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この角は大きな円Bの円周角になっており、中心角90°になるような円Bの円周上の点を導くことができれば、その点と点Xを結ぶことで正方形の1辺が作図できるわけです。

 

ここでOBを結ぶと円Aの直径の円周角になっているため、角Bは90°です。したがって、直線OBと円Bの交点が求める点になります。この交点と点Xを結ぶと、45°が作図できるため、正方形の1辺が作図できることになりますし、円Oとの交点が求める正方形の1つの頂点になります。

 

また線分DEは円Bの直径なので、角DXEは90°です。角OXDは45°ですから、角OXEも45°。したがって、この直線がまたまた求める正方形の1辺となるわけです。

 

しかし綺麗に収まるものですね。なかなか奥が深いです……。

 

Euclidea: Geometric Construction Puzzles

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